【医師監修】48%が睡眠悪化?10人に1人が睡眠障害?コロナウイルスによる睡眠への影響とは!
コロナ禍におけるテレワークや生活リズムの変化によって睡眠の質が低下した、という方は少なくありません。
また、新型コロナウイルスに感染後に眠りづらくなったり、夜間に目が覚めたりなど、睡眠に関する悩みが増えたという方も多くいます。
この記事では、睡眠健康指導士である筆者が最新の研究や論文を基に、昨今のコロナ禍における睡眠の変化、新型コロナウイルスの睡眠との関連性、そして改善の方法について解説していきます。
東京慈恵会医科大学大学院修了。タイ王国マヒドン大学留学、国立国際医療研究センター、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授・同大学病院感染制御部部長、感染症科診療科長などを経て2019年より現職。自らも不眠症を患った時期があり、様々な対処法や症状に見合った内服薬などを検討してきました。
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48%の人に影響あり!コロナ禍における睡眠の変化とは
上記は、2021年にPHILIPSが13ヵ国13,000人を対象に行なった睡眠に関する調査の結果をまとめたものです。
新型コロナウイルス感染拡大が睡眠に何らかの影響があったと回答する人は48%にも上り、その内訳は心身の健康悪化など間接的なものから、睡眠の質の低下(21%)や睡眠習慣の悪化(20%)など直接ものまで様々です。
具体的な睡眠の影響については、入眠に困難を感じたり、中途覚醒が多くなったりなどの問題を感じているようです。
また、男性より女性、高齢者など他世代より若い世代(18~34歳)がよりネガティブな影響を受けているという結果が出ています。
新型コロナウイルス感染後に発症しやすい3つの睡眠障害
次に、新型コロナウイルス感染後にどれくらいの人が睡眠障害を患っているのか、またどのような睡眠障害を患っているのか見ていきましょう。
新型コロナウイルス感染後の睡眠障害発症の割合
厚生労働省が2020年に行った入院歴のある患者525例の追跡調査では、診断後〜退院までで26%、診断から6ヶ月経っても11%が睡眠障害を患っていると報告されています。
また、上記の報告では他の症状(倦怠感、咳、筋力低下等)を1つでも発症していると、心身の健康状態が低下し、睡眠障害も増悪したと報告されています。
また、2022年の新型ロナウイルス感染後の後遺症に関する研究報告では、コロナウイルス感染で入院した中等症以上かつ20歳以上の患者のうち、10.1%が1年後も睡眠障害を患っていて、中等症以上に限らない調査では7%が1年後に睡眠障害が残っていたと発表されています。
※ 中等症とは、血中の酸素の値が一定以下を下回り呼吸困難な状態になっている状態のことを指します。
上記の睡眠障害発症の割合はあくまで入院患者の中での割合で、新型コロナウイルスに感染した人全員ではない点に注意が必要です。
しかし、それでも入院患者の内10人に1人が半年後、14人に1人が1年後まで睡眠障害が続くと考えると、かなりの割合であることが分かります。
オミクロン株では約2倍の睡眠障害
岡山大病院の調査によって、現在流行っているオミクロン株では睡眠障害を訴えた患者の割合が24.8%とデルタ株や従来株に比べて約2倍となっていることが分かっています。
下記の動画では、オミクロン株発症後の夜間の覚醒や寝不足による仕事への影響についての事例が紹介されています。
どのような睡眠障害が起きるか
新型コロナウイルス感染後に起こりやすいと言われている睡眠障害は以下の3つです。
- 1入眠障害 (寝付けない)
- 2中途覚醒 (夜間に目が覚める)
- 3睡眠時無呼吸 (いびき)
特にオミクロン株では、先程の岡山大病院の調査によると、睡眠障害を訴えた人のうち75%で布団に入ってもなかなか眠れない入眠障害、40%で夜間に目が覚める中途覚醒の症状があったと報告されています。
まずはここから!睡眠改善の3つの対策
ここからは、コロナ禍における睡眠改善の方法を3つご紹介します。
- 1睡眠時間の確保
- 2生活リズムの改善
- 3睡眠導入剤の使用
1. 睡眠時間の確保
スウェーデンのウプサラ大学のPei Xue氏らによる研究によると、睡眠時間が6時間未満の短時間睡眠である人はコロナウイルス感染後の後遺症のリスクが優位に高くなることが分かっています。
仕事などで夜間に睡眠時間が取れない方もいるとは思いますが、出来る限り一般的に推奨されている7〜8時間ほどの睡眠時間を確保するようにしましょう。
2. 生活リズムの改善
コロナ禍では、太陽光に触れる機会が減ったり日中の運動量が減ったりすることで、夜に寝付けなくなる可能性があります。また、生活リズムが乱れると体内時計が安定せず、さらなる不眠の原因にもなります。
日中に散歩などで外に出て太陽光を浴び、毎日決まった寝る時間に就寝することを心がけましょう。
また運動については、カナダのコンコルディア大学の研究によると就寝時刻の2時間前に運動すると睡眠に良い影響があり、就寝時刻の2時間以内に運動すると逆に悪い影響があるという結果が出ています。
3. 睡眠導入剤の使用
夜になかなか寝付けず、入眠が困難という方は市販の睡眠改善薬、またはお医者さんによって処方してもらえる睡眠導入剤を検討するのも1つの手です。
様々なタイプの睡眠導入剤がありますので、病院やオンライン診療を利用し医師に適切な指示を仰ぐと良いでしょう。
COVID感染の有無にかかわらず良質な睡眠を得るためには規則正しい生活をする(日中にはできるだけ外出をして日光を浴びる、決まった時間に食事をする、夜更かしをしない、休みの日に寝だめをしないなど)、ストレスをためない(これまで制限がかかっていた趣味や娯楽などの時間を増やす、適度に体を動かす、気の合う人と話をするなど)のような日常の心がけが重要です。
また就寝前のスマートフォンやPC閲覧は入眠障害、過度の飲酒は中途覚醒を促しますので避けるようにすべきです。
ただ日常生活の見直しだけでは良質な睡眠が得られないこともありますので、睡眠障害に詳しい医師に相談し自分に見合った対処法を知ることも必要です。
まとめ
この記事では、コロナ禍における睡眠の変化から、感染後の睡眠障害について、また睡眠改善の対策まで、新型コロナウイルスと睡眠の関係性について解説しました。
コロナ禍における不安や生活環境の変化が実は睡眠に大きな影響を及ぼしていたこと、また感染後の睡眠障害の割合が高い(特にオミクロンにおいて)ことが分かったかと思います。
新型コロナウイルスは2020年に流行し始めたため、まだ調査データも少なく、そして今後どう変化していくのかも分からないような状況です。
日頃の生活リズムの改善など、出来ることから睡眠の質を高める取り組みをし、少しでも異変を感じたら無理せず医師に相談するようにしましょう!
また、睡眠の改善にはマットレスなど睡眠環境の影響も少なくありません。マットレス予算や条件別のおすすめマットレスを下記の記事でまとめているので、是非ご覧下さい!